百日目。 2004-05-28 - へびあし。


_ 百日目。 2004-05-28

あの夜から、百日経った。

私は、毎日を普通に過ごしている。

笑ったり、泣いたり、苦しんだりしている。

日常は何も変わらない。

それでも、思う。

「会わない事」と「会えない事」の違いを。

私は、祖父に二度と会えない。

長い闘病生活と入院生活とで、祖父はもうとっくに私を知っている祖父ではなかった。

私は、彼にとって、何者でもなかった。

でも、それが何だと言うのだろう。

私は、この人にとても愛されてきた事を十二分に知っていた。

何度も、この人に助けられてきた。

自分の人生に関わってきた人達のどの人が欠けても、今の自分がないことは十分に分かっているけれど、それでもそういった事を超えて、私の心の奥底にあるものを作ってくれた大事な人で、私に惜しみない愛情を与えてくれた人だった。

事実は、受け入れていかなければいけない。

「家」を出る時、私は何度も自問したはずだ。

大事な人を見送れない可能性を。

そして、私はその覚悟をして、ここに来た。

それは、よく分かっている。

それでも、もし、願いが叶うなら。

最後に一言でも言葉を交わせたら。

感謝を、せめて伝えられたなら。

そう思いながら、手を合わせた。