難しさ 2002-04-18 - へびあし。


_ 難しさ 2002-04-18

手話の会で、手話で歌おうということになった。

ろうあ者の方を交えて、歌詞を見ながら、手話を当てはめていく。

「犬のおまわりさん」

「ウサギとカメ」

この二曲を使った。

ご存知の方が多いと思う。

「犬のおまわりさん」は何の問題もなかった。

問題は「ウサギとカメ」。

『もしもし カメよ カメさんよ~♪

 (中略)

 歩みの のろい ものはない

 どうして そんなに のろいのか』

『何を おっしゃる ウサギさん

 (後略)』

ろうあ者の方が聞く。

「『ものはない』の意味がわからない」

意味は説明出来る。

「一番のろいって言ってるんだよ」

でも「なんでこんな文章なのか」と文章の意味を聞かれても答えられないのである。

結局「『ものはない』の文章は『いきものはない』を省略して、『もの』になっている」と説明。

それでも納得はしてなくて、でも「仕方ない」という感じ。

そういう諦めに慣れている気がした。

ちょっと悲しい。

同じく、『おっしゃる』の意味がわからない。

「『言う』を丁寧にいってるんだよ」

これは、すぐに理解してもらえた。

ただ、手話に「敬語」は(確か)存在しない。

どんな状況で、どんな風に使われているかはピンとはこないのだろう。

通じないのは、構わない。

外国語を学ぶ上でも同じような躓きはきっとあるはずだし、それらは交流を深めたりすることで乗り越えていけるはずだからだ。

でも、今回私は「諦めること」に「慣れている」ように見えたその態度が悲しかったのだ。

こんな風にどのくらいのことを諦めてきたのだろうか、そう思った。

全てにおいて、諦めないで欲しいとは思っていない。

でも、何故か悲しかった。

なんとなく、なんとなく。