日記にかえて~その七~ 2002-03-14 - へびあし。


_ 日記にかえて~その七~ 2002-03-14

『いまが苦しいなら』 鮎川信夫

 

一日の業を終えて 眠るためには

誰でも赦さなければならない

あなたは

あなたを殺すものでも

赦すことができる

赦すというのは

誰にでも許された特権で

赦さなければ

あなたも赦されはしないだろう

それがこの世の習慣である

だが おのれの裁き手は

おのれではないから

あなたを赦すことはあなたにはできない

それが掟である

生きているというだけで

ましてながく生きているというのなら

おのれを赦せる理由は

ほとんど無尽蔵である

幸いにも

あなたを殺しにくるものがあれば

喜んでむかえなさい

わずかに赦すおのれを許すことで

負担を軽くする余地が

残されているのだから