_ 魔法の話をしよう 2002-12-10
魔法の話をしよう。
昔、私が社会人になって間もない頃。
お取引先の方が見せてくれた魔法。
「女性であることを活かしなさいね」とその方はおっしゃった。
女性であることに苦しさを覚えていた頃に。
そして、クレームでやってきたお客様に魔法をかけた。
そのお客さんは、「どうしようもないタイプ」の方だった。
明らかに彼女に非があり、言いがかりであった。
それをその方は、全て笑顔で聞き、話の最後に何気なくお客様の手に触れた。
本当に何でもない感じで。
そして「あら、すごく冷たい手!外は寒かったんですね」とそっと、そのお客様の手を包み込んだ。
とても、親しげに。
とても、優しく。
その途端、
状況が一転する。
クレームのお客様は困ったような笑顔になり、そうなのよ、と相槌を打つ。
そして、今までの剣幕はどこへやら、急におとなしくなり、ひとしきり世間話をした後に帰って行った。
今でも、この事は忘れない。
これは、私にとって魔法だった。
by ミズキ