_ 夜の顔 2002-06-26
不思議な光景だった。
終電の行ってしまった天神。
福岡市役所前。
どこからか集まってくる青年達。
CDラジカセを持ちより、思い思いの音を流し、踊る。
酒を飲むわけでもなく、タバコをふかし、座り込むのでもない。
ただただ、踊る。
一様に皆、真剣なまなざしで。
彼らは、そこがどんな場所か分かる年齢である。
でも同時に、恐らく昼間は彼らにとって、何の意味もなさない場所であろう。
何故、市役所前なのか。
彼らの姿を見ていると、謎はすぐ解ける。
一階がガラス張りだからである。
夜の街のわずかな明かりが、踊る彼らの姿をガラスに映し出す。
何の為か分からない、街中に広く取られたスペース。
お金がかかったであろう、ガラス張りの入り口。
その場所に、夜になって、こんな活用のされ方があるなんて。
その皮肉な組み合わせに、思わず苦笑い。
『昼間は、自分の姿を見つめなおしなさいよ、大人達!!』
何となく、そう言われているようでもあって、肩をすくめた。
by ミズキ