今、私の中にないもの 2008-10-05 - へびあし。


_ 今、私の中にないもの 2008-10-05

例えば。

街中を歩いていて、ふと懐かしい曲に出会ったりする。
そうすると、その頃の自分とその時の親しい人たちとの思い出が電流のように自分の中を駆け巡ったりする。
そういった時、現実的に一歩も歩けなくなる事がある。

音楽でなくても、色だったり、服装だったり、匂いだったり。

記憶って不思議だ。
思い出しもしない時間の方が多いのに、私の中に確かにあって、忘れないのだ。

過ぎ去った人、いなくなってしまった人、もう会えない人、もう会わない人。
そういう人たちも私を作ってきたのだと突然気づかされる。
そんな思い出とすれ違った時に。

最近は、よくそうして私は立ち止まる。
そして、たまに、胸をかきむしる様に恋しさにとらわれたりする。
今、その人に出会ったって、恋はしない。
今、その物事に出会ったって、夢中になったりしない。
きっと、その時の自分に焦がれているのかもしれない。

今の自分にないものって、そういうものだ。
もう、手に入らないかもしれないものって、そういうものだ。
でも、それを悔んだりしている暇もないのだ。
目の前に、育っていく命がある。
そう言い聞かせつつ、やっぱり、それだけの自分でいたくないと思う。
私は、もっと違う自分になりたい。
三十もとっくに超えたこの年齢になってさえ。