へびあし。

サイト名通り、「蛇足」な日々を書き綴ります。
まぁ、ボチボチ、まったりと。
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_ 夜の顔 2002-06-26

不思議な光景だった。

終電の行ってしまった天神。

福岡市役所前。

どこからか集まってくる青年達。

CDラジカセを持ちより、思い思いの音を流し、踊る。

酒を飲むわけでもなく、タバコをふかし、座り込むのでもない。

ただただ、踊る。

一様に皆、真剣なまなざしで。

彼らは、そこがどんな場所か分かる年齢である。

でも同時に、恐らく昼間は彼らにとって、何の意味もなさない場所であろう。

何故、市役所前なのか。

彼らの姿を見ていると、謎はすぐ解ける。

一階がガラス張りだからである。

夜の街のわずかな明かりが、踊る彼らの姿をガラスに映し出す。

何の為か分からない、街中に広く取られたスペース。

お金がかかったであろう、ガラス張りの入り口。

その場所に、夜になって、こんな活用のされ方があるなんて。

その皮肉な組み合わせに、思わず苦笑い。

『昼間は、自分の姿を見つめなおしなさいよ、大人達!!』

何となく、そう言われているようでもあって、肩をすくめた。

_ 出稼ぎ。 2002-06-25

熊本へ出張する。

「まぁ、このくらいのアポで出張してもいいのかしら?」という楽なスケジュールを組んでいたはずなのに、気が付けば、分刻みで動くような事体になっていた。

不思議だ。

にっこりと笑い、深々と肯き、相槌を打ち、大きな風呂敷を広げて回る。

新人と悟られない、堂々とした語りっぷりは、我ながらアッパレだと思う。

知らない街を歩くのは、とても不思議だ。

よそ者ですという顔を思いっきりして、心地よい違和感を感じながら、過ごす。

私の日常がない場所。

誰かの日常がある場所。

帰り道、ほんのちょっと後ろ髪を引かれる思いを感じながら、待ってくれている人のいる場所がある幸福に触れる。

_ 重圧 2002-06-24

「出る杭は打たれる」と言う。

だから出ないように、小さくなって、小さくなって。

押し殺して。

「上手く生きる」ことの難しさ。

平均台の上のような危うさで。

出ないことによって、守っているはずの何かを

自分の手で殺しては埋め、殺しては埋め。

夜中にうめき声を聞く。

_ 幸福 2002-06-23

就職してから、まるで金太郎飴のように、どこを切っても「仕事と職場に関すること」しか出てこなくなっていた。

多少のことは仕方がないと思う。

一日の大半をそこで過ごしているのだから。

それでも、やっぱりあまりよくない。

何だか、いつも息苦しい。

休日を使って、「場所」を変わる。

ほんの少しだけ、「日常」を離れる。

それだけで私の心は、見違えるように元気になった。

もう、それだけで満足だった。

ただ、知らぬ街をずっと歩いているだけで、想像もつかないような解放感を味わった。

声に、音に

耳を傾けながら、触れることの出来ない時間をいとおしく思った。

そして、何も考えずに、心おきなく眠る。

ただただ眠る。

この上なく、贅沢な休日。

_ キミ 2002-06-22

思い出すことといえば、まだ小学校に上がる前。

けんかをして、家の外に追い出されましたね。

父の帰宅時間が近いことを知っていた私は、「そのうちお父さんが帰ってくるし」と諦めてドアの前に座っていたけれど、キミは諦められずに、呼び鈴を鳴らし、

「夕刊ですよ~、入れてください~」

と叫んでいましたね。

あと、母の居ぬ間にチョコレートを食べて、

「チョコレートを食べたでしょ?」と責められた時に、

「チョコレートをたくさん付けた顔で」

「食べてないよ」

と言い切りましたね。

それから、幼稚園の給食で嫌いなものが出た時は、先生の目を盗んで

「水筒に詰めて」

帰ってきてましたね。

そんなキミも、もう24歳。

キミと姉弟でよかったと思っているよ。

小学生の頃、私のクラスメートに

「お前、姉ちゃんがおるやろ?」

と聞かれたときに

「うちには、兄しかいません」

と言い切った事は一生忘れないからね。

心から、お誕生日おめでとう。